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風景写真出版からのおしらせ

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誌面で紹介「雨雪除けレンズフード」の詳しい作り方をご紹介します!

雨や雪がレンズに付いて困ったことありませんか?

2020年度『風景写真』年間グランプリを獲得した白井正明さんに

簡単に自作できる「雨雪除けレンズフード」の作り方を教えていただきました!


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雨を気にせず、待機中

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シャッターチャンス到来!


雨や雪の日に困るのがレンズの前玉、あるいはフィルターに雨粒や雪が付くことですね。
このレンズに付いた雨粒や雪に気付かずにいると(私のカメラではファインダーを見ているときは絞り開放なので分かりにくいです)、それらが写りこんでしまい、折角の作品が台無しになってしまいます。
 
特に、悪天候の日に便利な高倍率ズームでは、付属レンズフードが広角側に合わせた大きさに作られているため、雨や雪除けにはあまり役立ちません。そこで、本誌『風景写真』5-6月号(63ページ)でご紹介したのが手作りの雨雪除けフードです。作り方はいたって簡単ですが、このような工作に慣れておられない方のために、少し詳しくご説明していきます。

実際に製作されるときには、お好みにより、色々と工夫してみてください。(以下、レンズ附属のフードをレンズフード、製作するフードを本フードと呼びます)


1.材料と寸法
本体の材料は、板厚0.5ミリ程度のプラスチック板です。ホームセンターには、塩ビ(塩化ビニール樹脂)板、スチロール板など色々あると思います。何でも良いのですが、塩ビ板が安価で丈夫です。東急ハンズやヨドバシカメラの通販でも入手できます。

本フードの大きさはお好みで決めます。大きければより効果がありますが、反面、取り扱いが不便になりますし、風の影響を受けやすくもなります。私は、折りたたんだ状態で普段使っているカメラバッグのポケットに入るような大きさ(A5版相当)にしました。

ご参考までに、NIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6レンズの場合の部品図(A3用紙)を以下に掲載します。の幅である210ミリと140ミリの比は、カメラのセンサーの縦横比に合わせたものです。96ミリはレンズフードの外径です。

の台形の高さ100ミリは、計算では出せません。ボール紙で試作品を作り、ファインダーを覗きながら、画面がケラれないように現物合わせで決めました。の形状が決まれば、その斜辺の長さを同じにしての形状が決まります。
他のレンズの場合も、ボール紙などで試作しながら寸法をお決めになることをお勧めします。

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部品図-1[部品AB寸法はNIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6の場合)

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お菓子の空箱を切り貼りして、試行錯誤で各部の寸法を決めました。


2.部品の加工
塩ビ板はカッターナイフで切れます(プラスチック専用のPカッターがあれば、より簡単です)。力を入れて1回で切ろうとせず、軽い力で少しずつ何度も切り込んでいくのがコツです。

部品の逆U字型の切れ込みは、ここを内側に押し曲げてレンズフードに密着させるためのものです。直径3ミリの穴は、亀裂が入らないようにするため(専門的に言えば、応力集中を緩和するため)です。ドリルで開けるのが良いのですが、木工用の錐でも良いでしょう。この穴を起点にして逆U字型に切れ込みを入れますが、この加工が一番難しいかもしれません。糸鋸があれば一番良いのですが、無ければ、カッターナイフで少しずつ切りましょう。その場合はU字型にせず,□(角型)でも何でも構いません。

逆U字型の真ん中の直径5ミリの穴は、スナップボタンを付けるためのものです。錐で下穴を開けてからヤスリなどで適当に(スナップボタンのポッチが入る程度に)拡げて下さい。部品も同じです。

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部品図-2[部品CD](寸法はNIKKOR 28-300mm f/3.5-5.6の場合)


3.組み立て
 台形板は粘着テープで繋ぎます()。
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ビニールテープでも良いですが、耐久性に難があります。ホームセンターや通販サイトには耐久性の高そうなものが色々並んでいます。

下の写真は、本フードに使ったもので10年近く前のものです。写真家御用達のパーマセルテープと同じ製造元(米国Shurtape社)でした。現在もほぼ同じ商品が販売されているようです。
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最初に使ってみた粘着テープ

しかし、このテープでも3、4年使っていると傷んできましたので、下の透明粘着テープを重ね貼りして補強しています。このテープの方が丈夫かもしれません。
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透明粘着テープ。これも丈夫です


直径5mmの4つの穴(A:1枚、B:2枚、C:1枚)には外側からスナップボタンを付けます。塩ビ板には接着剤が着きにくいため、下の写真のように透明粘着テープで貼っただけです。
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右=部品:スナップボタンと面ファスナーを貼った状態
左=部品:部品と面ファスナーを付けた状態(面ファスナーは、透明粘着テープの裏に貼ってあります)

本フードの下側の台形板は、上の写真のようにの2つに分けてあり(この写真は、部品図-2と表裏逆になっています)、これらをレンズの下で連結します。すなわち、スナップボタンのある方()をもう一方()に30ミリ重ね,双方を面ファスナーで繋ぎます。は、2枚を重ねるときの位置決め用としての外面に貼りました。(この部分は,本誌に掲載されたものとは少し異なります。改良版です!)
面ファスナーの商品名は、ベルクロ,マジックテープなどです。裏に粘着剤付きのものが便利です。私が使ったのは以下の製品です。
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粘着剤付き面ファスナー

カメラフードにもスナップボタンを付けますが、これはしっかりと接着しなければなりません。接着するところを紙やすりで少し荒らした上でエポキシ樹脂接着剤(2液タイプ)を使い、きちんと位置決めして接着します。また、取り付けるスナップボタンは、カメラフードの曲面に沿うように、ペンチなどを使って少しだけ曲げておくのがお勧めです。
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カメラフードに接着したスナップボタン

前面には、透明プラ板(以下、フラップ)をぶら下げます。透明粘着テープで上の辺だけを貼っておきます。風があるときは、フラップを下げて雨・雪を防ぎながら構図などを決め、シャッターを切る時だけフラップを跳ね上げます。

風が強いとバタバタ揺れますので、適宜、面ファスナーなどで固定できるようにすると良いでしょう。冒頭の写真でフラップの真ん中に着いている黒いものが面ファスナーです。上板(A)にも面ファスナーを貼り、フラップを跳ね上げたときに軽く留められるようにしてあります。

「でも,ファインダーを覗いたときに邪魔にならないの?」とお思いかもしれません。が、これがないと、フラップを下げていることを忘れてシャッターを切ってしまうことがありますので、丁度良いのです。(本誌の写真では、フラップの真ん中に油性ペンで印をつけてありますが、同じ理由からです。)
また、フラップは上下2つに分けてあります。これは,折り畳んだときに,なるべくコンパクトにしたかったからです。

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フラップの中央に面ファスナーを付け、跳ね上げたときに留められるようにしている
 
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折りたたんでコンパクトに収納!

 以上、回りくどいご説明になりましたが、実際には簡単にできると思います。
そしてきっと、雨の日、雪の日の撮影がますます楽しくなりますよ!!


本記事の執筆者:白井正明(しらい・まさあき)
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1951年東京生まれ。中学生の時に写真を始めるが,その後,暫く中断。ディジ
タル化の進展により暗室無しに現像・引伸しができるようになったことに魅力を
感じ,2004年に写真を再開。隔月刊「風景写真」誌フォトコンテストにて2020年
度グランプリ受賞。写団薬師所属,東京工業大学特任教授,工学博士。


by fukeinews | 2021-04-18 09:00 | 隔月刊「風景写真」